「アキラ……ウチね……アキラと……」


電車のせいでも人ごみのせいでもなく、途切れ途切れに聞こえる柊の声。

途切れさせているのは柊の心なのか、僕の頭なのかはわからない。

だけど、電話のみのやり取りが増えれば増えるほど、僕の心は確実に柊の声を聞き取りづらくなっている。


「ごめん……聞こえなかった……」

「うん……よかと……たいしたことじゃなかけん……」

「そう……」

「うん……」