コンビニで買ったパンを手でちぎる。
僕のその動きは見慣れたものだったのか、目の前の水面にはたくさんのガチョウが集まって来ていた。
僕はガチョウの集団の中ほどにパンを投げ入れる。
そこに群がるガチョウ。
上になり下になり、しゃがれ声を上げながら大騒ぎする羽音は、堀の淵に座る僕の頬に水のしずくを飛ばした。
「グウァア」
『グウァア』
僕に答えるガチョウ。
また、パンを投げ入れる。
再び喧騒。
今度は僕のスニーカーにもしずくが飛ぶ。
「グウァアアア」
『グウァアアア』
僕はパンの残りを、水面にふんぞり返る『勝手にエサを与えないでください!』と書かれた看板付近に投げ入れ、公園の近くに来ていた、今どき珍しくリヤカー引きの焼き芋屋で芋を買って帰った。
芋を新聞紙に包んでくれたおじいさんの笑顔は、どことなく死んだじいちゃんを思い出させた。