「それで、連絡は来た?」

「いや……」


まだ。

そう続けたかった。

まだ、来てない。

来るはずだという意思表示。

柊はまだ僕に連絡をくれるのだろうか。

僕に伝えたいと思ってくれるのだろうか。


「まあ、どっちでもいいわ」

「…………」

「で、聞かせてくれるかな?」


神崎さんはあえて今日を選んだのだろう。

柊の結果が出る前の今日。

神崎さんは、柊の結果を聞いてから動くような女性ではない。

柊の結果を聞いた僕の動揺を利用するような人でもない。



多分、そうしたほうがいいことは、神崎さんも分かっている。

僕も動揺した場合、近い存在に頼ってしまうと思う。

でも、神崎さんはそれをしなかった。

僕も、神崎さんはそれはしないだろうと思っていた。


「僕は……」