帰り道。
僕はさっきの出来事について考える。
いつになく真面目な神崎さんの態度に思わず「了解」などと答えてしまったが、本当に良かったんだろうか。
だけど、たぶん、もう逃げちゃダメなんだ。
そろそろ、僕は僕の方程式を解かなければならない。
いや、解く事自体に挑戦し始めなければならない。
いつまでも、放っておいちゃダメなんだ。
でも、僕自身の気持ちはどうなんだろう。
僕はどう思っているんだろうか。
いや、その前に、柊は愛想を尽かしてないだろうか。
柊の現状を(x)として、神崎さんの存在を(y)とする。
代入する値をハナの気持ち(2a)として、余りはマサハルさん。
それに、シズカさんの出奔の謎(2b)を掛けると……。
答えなんて出るはずがない。
そんな公式なんか知らない。
僕はため息をつき、コンビニの袋からマサハルさんのビールを取り出し、思いっきり振ってみた。
袋の中では、ハナの為に買ったミルクプリンがガサガサと音を立てていた。