昨日のことだ。
いつものように神崎さんに呼び出され、二人でそのコンビニのパサパサとしたモンブランを食べていたときだった。
「明日、城内公園の『少女の像』の前に12時に来て」
神崎さんは僕の方を見ず、コンビニの向こう側の暗がりを見据えながらそう言った。
「デートならお断りします」
僕も神崎さんが見てるであろう暗がりを見ながらそう返す。
いつものことだ。
誘われて、断る。
これまで何度も繰り返してきたことだ。
「えっと……明日だけは……お、お願いします……」
僕は神崎さんの言葉に驚く。
お願いします。
これまで一度も、彼女の口からは聞いたことのない言葉だった。
しかも、きちんとこちらを向いて言っている。
「は、はい……り、了解……し、しました……」