あんな男らしい表情の顔が近づいてきて、恥ずかしさで死にそうだった。


そんなことが言えるはずもなく、私はいつものように言ってしまった。

「初キスはもっとロマンチックな場所でするのが普通でしょ?!」


彼は一瞬、ぽかんとした表情になったがすぐに笑い出したのである。

「ふふっ…本当敵わない。わかったよ、楽しみにしててね」


言うと妖艶な笑みを浮かべ、彼は私の耳にキスを落としたのである。


「あ、ちなみに。昨夜、何もなかった。とは言ってないからね?」

にこっと笑う彼の言葉に、激しく動揺したのは言うまでもありません。


―Said茉莉 END