甘いシャンプーの匂い、小さい頭。 彼女を抱き締めていた。 「八幡さん、ごめんね」 なぜか謝ることしかできなかった。 「気持ち悪いだろうけど、少しこうさせて」 僕は、ベンチに座ったままの彼女を、前から体を屈めて抱き締めていた。 彼女にとっては気持ち悪いかもしれないけど、体が動かなかった。 八幡さんは黙って泣いていた。 …