「光井先輩って鈴木と血繋がってるらしいよ」
「…は?」
鈴木…?はは、鈴木なんて日本にいっぱいいるしね…。
「鈴木陸。光井柚希と鈴木陸、兄弟なの」
「…え」
あの、最低な男と?あの優しい生徒会副会長の先輩が?兄弟?
「それガチで?」
「うん」
「名字違うじゃん」
「離婚したんだって。光井先輩がお母さん、鈴木がお父さんに…」
美紗の言葉はもう頭に入ってこなかった。
あの、光井先輩に触れたときの寒気、どこか陸と似た雰囲気。あれは間違っていなかったんだ…
「ごめん林檎。一応言っといた方が良かったかなって…あ、ごめん!親から電話だ、ちょっと待ってて」
美紗は携帯を持って私から離れていった。結構遠くに。
光井先輩が、あいつと、兄弟。信じられない。信じたくない。ありえない。やめてよ、やめてよ…
何故こんなに二人の関係を否定しているんだろう。私には関係ない。二人が兄弟だろうと関係ないはずなのに…
「…あ、八幡さん」
「あ…、光井先輩…」
なんてタイミング。まぁ学校の目の前の公園だしおかしくもないか。生徒会の仕事かな?
「あぁ、あの子とお昼か。一人かと思って吃驚したよ」
光井先輩は笑って、さっきまで美紗が座っていた位置より、私から離れた位置に座った。
「わ、美味しそうだね」
「あ…ありがとうございます…」
あいつと…陸と兄弟なんですか?
これは、聞いていいことなのかな…?
駄目でも、私は確かめたかった。
「あの…」
「ん?」
光井先輩は優しく微笑んだ。こんな人があいつと兄弟…
私は躊躇いながらも聞いてみた。
「み…光井先輩、り…鈴木陸っていう人知っていますか…?」