立って、外を眺めている。


そして時たま俺に向かって話しかける。


俺は考えていた。


この人は、俺の前に影になって現れるあの人と同じ人なのかと。


そのような気もするし、違うような気もする。


分からない。


俺に分かるあの人の特徴といえば、短い髪と、小さな体と...


「あぁ、なんか疲れたなぁ」


大きな伸びをしながら詩織がドアに寄りかかった。


「早く帰って休みなよ」


「うん、そうする...」


そして足を少し上に上げて、どこかを点検するように見ている。


くるくると足首を回しながら。


ヒールのない靴に包まれた足は、冬なのに肌が出ていた。