手元のスマートフォンが、音を鳴らすよりも先に、バイブが唸った。
ブー……
ピリリリリ、ピリリリリ
「はい?」
『あ、やっと出た』
「今初めて掛けてきたやろ」
『家電鳴らしたの、気づかへんかった?』
「あー……なんか鳴っとったかもしれへんなァ」
洗濯物を畳んでいた手を止める。
ふと顔をあげた先にある縁側からは、心地よい南からの日差しを受けて、朝露を乗せた葉っぱがきらりと光った。
「姐さん、姐さーん」
「ヤス呼んでる。用事なに? 柴くん」
『こっちは鮫島が呼んどるわ。またかけ直す。今度は出てな、家電』
「気が向いたらな」