途端にテルミトラの姿が変わっていく。
彼女はテルミトラの面影はなく、まっすぐな茶色の髪と青い瞳をもった少女になった。
本当に面影は消えて、どこにでもいそうな平凡な少女だった。
彼女はまっすぐな茶色の髪を頭の上で二つに縛っている。
髪を縛っているレースのリボンは、いかにも上品である。
全体的に賢そうな少女であった。
少女は口を開く。
「私はこの変身魔法を使っている限り、他の魔法は使えないの?名前は……何が良いかしら?」
「シンシア?」
シンシアははっと我に帰った。
テルミトラの魔法のすごさに驚いていたのだ。
「あ……、」
「そう!アニアがいいわね♪あなたいいこと言うじゃない!!!」
おいおいおい、テルミトラが勝手に決めてるんじゃん。
私は一切意見してないよ。
と、シンシアはつっこもうとしたが、つっこめなかった。
だって、この女王様に逆らったら、何されるかわかんないじゃん……。
テルミトラこと、アニアはシンシアを引っ張り、王国をスキップで出ていった。
シンシアは逆らえずに、力なくアニアに引っ張られていった。
これは……。
この先アニアに振り回されるのは確実だね。
シンシアのこれからの不安も知らずに上機嫌で国外へと歩み出ていくアニア。
この先はどのようなことが起きていくのだろうか……。