アニアはさっさと店を出て、宿屋に戻った。




丁度みんなが出てきたところだった。



「遅かったわね。馬車はもう買ったわ。乗って。さっさと行きましょう。」



「えー、もう行くの?何も買い物してきてないよ。」




シンシアはだるそうに言った。




「....じゃあ、次の国で買い物でもしなさい。次の都市は商業都市よ。」



「はい!」



シンシアは敬礼して乗り込んだ。



他の人も無言で乗り込み、最後にアニアが乗り込んだ。




中は案外前の馬車と変わらなかった。




皆、窮屈そうに座り込み、辺りを見回す。



「案外、普通なんですね。」




イルが言った。



アニアは首を横に振った。



「この馬車は普通の馬車とは違うわ。見た目は普通だけど、妖精が作った馬車よ。3階建てよ。皆、狭いなら上の階へ行きなさい。」




シンシアが目を輝かした。




「ってことは上はどうなってるの?」




「2階はキッチンとテーブル一式。3階はベット2個。ちなみにみんながここからどけば、1階にソファーとコーヒーテーブルを置く予定よ。」



それを聞いたシンシアは



「キャー!」


と嬉しそうに叫んだ。



両手を上に掲げている。



「アニア最高!テンション上がるよ!」



「私が料理作りたいです!」



マローニが主張する。



「いいわよ。食事係はマローニ。」




シンシアが飛び跳ねた。




「マローニのご飯は格別なんだよ!」




マローニは顔を赤くして照れくさそうだ。



「じゃあ、早速お願い。」


「わかったわ。」




マローニは楽しそうに上へと上がった。



「運転は当番制にしましょうか。」



アニアは提案する。



「いや、馬車は男3人で交代運転だ。」





ラミアスはにっこり笑って言った。