宿屋にはすでに他の全員がいた。
シンシアがアニアを真っ先に見つけ、
「アニア!!お金は集まった?」
そして、すかさずにラミアスが叫んだ。
「イル!?お前、アニアと一緒だったのか!!」
シンシアの言葉が見事にかき消される。
アニアはみんな集合していることを確認して、話始めた。
「悪魔がこの街に来ていたみたいだわ。もういないけど。」
「本当なのか!?それは嫌だな。ここでそんな話はやめて、中で話そう。」
ミカドは震える声で言った。
全員が部屋に戻るその途中、イルはラミアスに言った。
「ラミアス。皆さんが言っている『悪魔』とはなんなのですか?」
「えーー!?イル知らないの?」
シンシアが驚いたように言った。
そこで、とうとう俺の出番かとミカドが悪魔について語り出した。
薄々、長くなると予感したラミアスはイルをミカドの自分の間に挟むように回り込む。
「悪魔はな、妖精狩りをしているんだ。魔法でな。そしていつか世界を征服しようとしているんだ。だからいつ人間にも被害がおよぶかわか....」
「ラミアス、この話はいつまで続くのでしょうか。」
イルは宿の廊下でペラペラと話続けるミカドに限界だった。
ラミアスは冷たく言った。
「さあ....。しょうがないだろ?イルが悪魔ってなんだって聞いたんだから。」
そこにアニアが加わった。
「....ラミアスがまたパシオダニの花粉にやられれば、終わるんじゃないのかしら。」
「アニア。もうその話はやめてくれ。うんざりだ。」
ラミアスは困ったような口調で言った。
隣でシンシアが笑っている。
マローニはなんのことだかわからずにシンシアに質問した。
「ねえ、シンシア。それってなんのことなのかしら?」
シンシアは軽く答えた。
「ラミアスがパシオダニの花粉で頭がおかしくなって、大騒ぎになったって話だよ。」
「まあ、かわいそうに....。」
マローニは口に手を当ててラミアスに非難の目を向けている。
ラミアスは口を開いた。
「だから、もうやめ」
「部屋についたわ。とりあえず、そっちが男、あっちが女よ。お金はその2部屋の間の部屋に置くわ。主に、その部屋にいてちょうだい。じゃあ、私は荷物を置いてくるから。」
こうしてラミアスの声はアニアに消された。
後日談として、1人立ち止まったラミアスの後ろには冷たい風が吹いていたとか。
友人のイルにとっては忘れられない衝撃的な出来事となった。