別の入口から入るというイルと別れて闘技場へと入ったアニア。




闘技場の中は多くの歓声で溢れ帰っていた。


アニアはふと立ち止まり、掲示板を眺めた。




そこで目が止まる。


『剣技大会 優勝賞品フェアリー雷剣
プリンス』


アニアは驚いて掲示板を穴が開くほど眺めた。


「まさか、あの剣がこんなところで商品になってるなんて。」


そして、踵を返して、カウンターへと出向いた。



「すみません。剣技大会に出たいのですが。」



「はい。今、別の大会の最中ですので、終わるまでお待ちください。終わりましたら、待合室へどうぞ。」



受付の人は優雅に答えた。


アニアは1度お辞儀をして観覧席へと向かった。



観覧席では怒号や歓声がすごい。



「あっ....。あれは。」


アニアの視線の先にはイルがいた。


どうやら、肉弾線の大会らしく、いつも腰につけている剣は見当たらない。



イルは素早く左右に拳を突き出している。



相手もかなりの強者で拳を余裕で避けてイルに向かって拳を突き出す。



イルはそれをよけるとともに手を地面につき、相手に足払いを仕掛けた。



ドサッ。




相手は見事に倒れ、イルはすかさずその上に飛び乗り、相手の顔すれすれで突き出した拳を止めた。


「ま、参りました....。」



相手選手は驚いたような顔で試合終了のゴングが鳴り響く。



「試合終了です!!優勝は〜イル選手!!実にいい試合でしたね!!」



司会の言葉を半ば聞きながらイルは退場していく。




アニアはそれを最前列で頬杖をつきながら見ていた。



「へぇ....。案外強いのね。」




そして、スクっと立ち上がり、カウンターへと向かった。