イルは目を覚ました。
目の前には誰かがいる。
でも、まだ目を覚ましたばかりからか、よく見えない。
目の前の人は言った。
「あら、目が覚めたのね。」
イルは思いっきり起き上がった。
ガバッ。
あまりの速さにアニアはびっくりした。
イルはそんなアニアを見た。
「俺はどうしたのでしょうか?」
「ほっぺたにたんこぶを作って伸びてたわ。」
「....。」
イルは身に覚えのある光景を想像した。
うわ〜
馬車ごときのスピードで気絶とは、恥ずかしいですね....。
穴があったら入りたい。
真剣な目つきでそのようなことを考えているイルをアニアは見て、ニコリと笑った。
イルはそれを見逃さなかった。
うっわ....。
思いっきり、ニヤリと笑われている....。
お前ら弱っww
とか思っているに違いないですね。
これは、間違いなく、ドヤ顔ですね!!
イルにそんなことを思われているとは知らず、アニアは林檎の皮をむく。
「....ところで、他の方は?」
「まだ寝てるわ。ぐっっすり。」
「今は何時ですか?」
「....正午。」
「馬車から降りて、どのくらいですか?」
「........2時間弱。」
イルの質問にアニアは淡々と答えた。
林檎の皮を綺麗にむき終わったアニアはイルに切ったものを渡す。
「どうぞ。」
「あ....ありがとうございます。」
イルはまるでアニアを畏怖するように林檎を受け取った。
っというのも、実際にイルはアニア畏怖している。
アニア....?
誰?
実際にアニアの現在の姿は、フェアリークイーンのテルミトラと混合している状態であった。
そんなことを露も知らずにアニアは立ち上がって、扉に手をかけた。
「じゃあ、他の人の所を回ってくるから。」
その瞬間にイルは言った。
「アニア....?あなたはそんな外見でしたっけ?」
その瞬間にアニアの顔は凍りついた。