「マローニ!!!」
シンシアは助走をつけてマローニに向かってジャンプした。
抱きつかれたマローニは勢い余って転びそうになった。
「…とっ。シンシア!!お久しぶりね。」
マローニは嬉しそうに言った。
ラミアスとミカドはほほえましくそれを見ていた。
唯、一人。
イルは訳がわからすにいた。
「…あの、アニアさん。その、女王様というのは何ですか?」
アニアは、一瞬驚いた。
すぐにシンシアが言った。
「女王様というのはね、フェアリークイーンのテルミトラ様のことだよ。妖精の女王様。」
「…なるほど。でも、そんな女王様となぜアニアさんはつながりがあるのですか?」
イルは、不思議そうに言った。
「昔からの知り合いなんだ。アニアとその女王様は。」
ラミアスは言った。
「そうですか…。ところで、付き合うとは…何に?」
「妖精の鍵を悪魔に盗まれたの。それを探して取り返すことよ。」
アニアは冷静を装って言った。
「それは、大変なお付き合いですね。ラミアス。」
イルはおもしろそうに笑って言った。
「…。」
ラミアスはそれを睨んで返した。
「それで、女王様とお知り合いである人間のアニアさんが派遣されたのですね。」
イルは納得したように顔を縦に振った。
「え…ええ。」
アニアはイルの横回しな言い方に苦笑いを浮かべながらも言った。
「良いですね。おもしろそうですね。」
イルはニコニコしてアニアに向かって言った。
誘って欲しいのかしら…。
アニアはそれをどう受け止めたらいいかわからないまま、ニコリと笑っていた。
「アニア。いいんじゃないか。イルを連れていっても。人手がある方が、悪魔との戦いも楽だし。」
ラミアスはアニアに言った。
アニアはコクリと頷いた。
「ええ。そうね。別にいいわよ。」
「本当ですか。それは嬉しいですね。では、私もお付合い致しましょう。」
それは、ものすごく上から目線であった。
「…。」
イル、彼は腹黒なんじゃないのかしら。
アニアは内心で呆れる。
うわ〜…。
上から目線をテルミトラ様に…。
ぶっ殺されるよ。
シンシアは心配になり、マローニから手を離した。
「…シンシア?」
マローニは不思議そうに聞く。
「そろそろ馬車へ行こう。マローニ。」
シンシアは笑顔で馬車を指さした。
「うん。」
マローニも笑顔で答える。
「じゃ、俺たちも行こうか。」
ミカドは言った。
「そうだな。イル、アニア。行くぞ。」
「わかりました。王子様。」
イルは棒読みで言った。
「....その呼び名だけはやめろ。」
ラミアスはギロりとイルを睨み、馬車へと歩いていった。
後に、三人も無言で続いた。