-次の日-

今度はフードを被っている男との契約。

毎日毎日同じ感じで飽きちゃう。

そう思いながらも、テルミトラは、仕事を続ける。

ある日に始めた人間との契約は人間にどんどん広がって今では一年待ちの人まで出てきている。



だから、総勢で毎日仕事をしなければえらい大変なことになってしまうのである。

テルミトラは、何かを思い出したような顔をして自分の執務室に向かった。

執務室は案外小さく、素朴な造りである。


これは決して貧乏などではなく、テルミトラの好みであった。

大体、部屋に仕事などの関係で入った人は、テルミトラが国のために節約をしていると勘違いをして、尊敬を表したような顔をして帰っていく。

そんな素朴な執務室にはいくつかの秘密がある。

それを知るのはテルミトラだけだ。

テルミトラは、自分の歩数をドアから数えてある床で止まった。

自分の足元の床板をはがし、出てきたスイッチを押した。

すると、ゴゴゴゴゴと地鳴りがし、天井から階段が降りてきた。


テルミトラは、それを何食わぬ顔で登っていった。

明かりを灯せば畳二畳ほどの小さい個室がある。

壁の三面には鍵が三十六個掛かっている。

テルミトラは、一番奥の壁に掛かる八個ののうち、七つの鍵を手に取り、下へと降りた。

降りたあとに指を鳴らし、パチンという音がすると再び地鳴りが起こり、天井が閉じた。

「実験をしとかなくちゃ、いけないわね……。」

意味深な言葉を言い、テルミトラは部屋を出た。

あとに起こることを知らない軽い足取りで。