リョウガは肩をすくませて答えた。
「さあな。ただ、鍵を盗った時に強力な魔法を使った少女なら覚えているんだが。」
アニアは青ざめた。
ソウはにやりと笑い、いきなりシンシアに剣を投げた。
剣は真っ直ぐでありえない速度でシンシアに迫った。
シンシアは金縛りにあったように動かない。
当たりかけたその瞬間。
「危ない!!」
ラミアスが咄嗟に動き剣を剣で振り払った。
剣はその場に大きな音を立てて落ちる。
ソウは口笛を吹いた。
「すげーな。兄ちゃん。どうやったんだ?」
「反射だ。」
ソウはまだラミアスと話そうとしたが、リョウガに止められた。
「そろそろ引き上げる時間だ…。」
ソウはがっかりして、ポケットから笛を取り出し吹いた。
すると、笛の中から大きな魔物が出てきた。
ソウは悪戯な目をして言った。
「あんたらの実力を見せてもらおうか。もし勝ったら、この鍵はやる。まあ、お前らがこの鍵を使えるとしたら大間違いたが。俺たちですら使えないから。」
リョウガはそれを聞くと仰天した。
「おい、ソウ。賭けなんて聞いてないぞ!!」
「まあ、あいつらが勝てるわけないだろうが。だから、いいじゃんか。」
ソウはにっこり笑って言った。
アニアはそれを聞いていた。
ふざけるんじゃないわ。
絶対に勝って鍵は取り返す。
怒っている乙女は怖いものよ。
ふふんと鼻を慣らし魔物を見据える。
結構強い相手ね。
シンシアもそれを感じ取ったのか、アニアに小声で呟いた。
「お願い。きっとこのままじゃ勝てない。だから、二つ目の魔法を使わせて。」
アニアは頷きながら言った。
「別にいいけど、その魔法を解禁したところで勝ち目は変わらないと思うわ。」
シンシアは頷く。
「わかってる。でも、少しでもみんなのためになるから。」
そう言って、魔物に向き直った。