「ラミアスは人間、でしょ?それがどうかしたの?」


ミカドはがっくりとした。

シンシアはぽかん、としている。

「アニア……。」


「何よ、シンシア。あなたがどう思っているか聞いてきたから、私は人間だと思っていると答えたのよ。」



「……。」


もはや言い返す言葉も浮かばない。


そんなシンシアをほっておいて、アニアはバックの中から草を出して、ラミアスの口に入れた。



そのあとに水を口に注いでいく。


「彼は、混乱状態に陥ったのよ。近くにあった植物の中の有害な花粉を吸い込んでしまったのよ。」



シンシアはそれを聞くと泣き出した。


あの幸せな瞬間は嘘であったということなのね……。


神様はいつもひどい。


ミカドが納得をしたように手を叩いた。


その瞬間にラミアスの目がパッと開いた。



だが、まだ意識がぼーぜんとしている。


なんだ?

俺の隣にいる誰かが優しい眼差しを送ってくれている。



誰だ?

ラミアスは再び寝てしまった。


しばらくしてラミアスの意識が回復した。


もう朝だった。


ラミアスは立ち上がり、今の状況を聞こうとしたところ、アニアが一足先に察して状況を話した。


「ラミアスはパシオダニの花粉にやられたの。だから、混乱していたわけ。次からどこかへ一人で行くのは禁物よ。」


ミカドもアニアの言葉に一言足した。


「ラミアスが一晩中寝ていたから、俺らで建物の周囲を調査したんだ。お陰で、あの建物は悪魔の神殿だということがわかったんだ。」


アニアがさらに一言足した。

「でも、あの扉は開かないのよね。」


「どうして、悪魔の神殿だとわかったんだ?」

ラミアスが疑わしそうな目でアニアを見た。

「なんとなく嫌な感じがするからよ。」

アニアはラミアスの目線から反らして答える。


いやいや、感じで普通にわかるのか?


俺に何か隠していないか?


ラミアスの中で次々にアニアに対する不審な点が上がっていく。


ラミアスの目がアニアに向かっていることにシンシアは辛く感じた。


ミカドはそれを見てニヤリと笑った。


見事な三角関係だ。


これは面白いことになってきたぞ。


しかし、アニアの気持ちがいまいちわからないな。


他に好きなやつがいたら、



さらに面白いことになるな。


妖精は恋愛を見るのが大好きなのだ。


どうしてそうなったかは神様に聞くしかわからない。






一方、アニアは鍵のことで頭がいっぱいであった。


鍵を見つけないと、世界が滅びるかもしれない。


そんなプレッシャーでいっぱいだった。


アニアは扉の近くにある石板に目がいった。