「失礼ね!そんな田舎に住んでた訳じゃないし!!!」



「…じゃあ、なんで知らないんだよ?悪魔というだけで妖精は皆、耳を傾けるぜ?」


「なんでそんなのに傾けるのよ?私は女王様が一番怖いと思うけどね.……。」



シンシアはそれを口にしてしまってから顔を真っ青にした。




当の本人はこの場にいるからだ。





けれど、アニアは気づいていないようだった。





必死に古代文字を追っている。




いや、読んでいる?


シンシアは話しかけているミカドを無視してアニアに近づいた。



そして、他の人に聞こえないような小声で聞く。




「アニア。もしかして読めるの?」




「ええ。これは悪魔の古代文字ね。今、読んでいる最中だから、話しかけないで。」




アニアはかなり集中しているらしく、眉を寄せている。


邪魔をしたくないシンシアはがっかりしてミカドのところへ戻った。




ミカドは未だに悪魔のことをきにかけている。




「悪魔はな、妖精狩りをしているんだぞ。魔法でな。そして、いつか世界を征服しようとしているんだ。それをされたら全種族は滅びるだろうよ。悪魔を除いてな。」




シンシアはそれを聞いて焦った。




アニアはそんなやつらに鍵を盗まれたのね?



これはヤバイわ。




シンシアはようやく事の大変さがわかった。





何せ、鍵が一度使われて以来、ずっと鍵になって眠っていたから。




ミカドがペラペラと悪魔について語っているうちにラミアスがスッキリとした顔で戻ってきた。





「しばらく散歩していたら、気分が良くなったよ。あれ、シンシア。お前、犬みたいにいつの間にかかわいくなったのか?」




ラミアスの言葉にシンシアは顔を真っ赤にした。




可愛い…って言われた。




ラミアスに.……///



「そ…そんな.……。」



シンシアの話を聞かずにラミアスはミカドに言った。




「ミカド.……。お前どうして肉まんなんかになっているんだ?間違って肉まんに食われたのか?」




ミカドはぎょっとしてラミアスに言った。



「ラミアス.……。お前、どうしたんだ?頭打ったのか?」




その言葉にアニアははっとなってラミアスのところに駆けつけた。




「ミカド、ラミアスがどうしたの?」



シンシアはまだ顔を真っ赤にしてその場に突っ立っていた。




「ラミアスが、俺のことを肉まんだとか言い出したんだ。」




「おや、アニア。君、いつの間にかそんなに太ったんだね。」




ラミアスの言葉にアニアはムカッと来た。





女にそんなことを言うなんて最低だわ。



こいつ、ぶっとばっしてやりたいわ!!!




だが、怒りをなんとか抑え、アニアはミカドに言った。




「ミカド。ラミアスを気絶させて。そして、剣をラミアスから遠ざけて頂戴!」





ミカドは驚いてアニアを見たが、言う通りにラミアスをげんこつで気絶させた。




この行動にはシンシアが驚いている。



「何やってんの?ミカド。せっかく彼といい雰囲気になれると思ったのに。」




「シンシア.……。あなたまでおかしくなったのかしら?」





アニアは怖い目でシンシアを見ている。




「私、おかしくなっていないわよ!アニア、あなたの方がおかしいんじゃないの?彼をどう思っているの?」




シンシアは涙目になっている。




「えっ、どう思っているって.……。」



ミカドはアニアが何を言うかワクワクして見ていた。