大きな建物には古代の文字らしきものがびっしりと書かれていた。




そして、真ん中の扉は侵入者を阻むような形で立っている。




大きな建物は三階までの大きさで窓は一切ない。




ぐるりと一周しても古代の文字らしきものの行列。




ラミアスは気持ちが悪くなってきた。




大きな建物はいかにも古めかしい感じで立っている。



最近できたばかりのはずなのに。




「これができたてホヤホヤの建物か?人が見逃しただけなんじゃないか?」



気分が悪いなかラミアスは言った。




そんなラミアスをミカドは支えながら言った。



「きっと大きな移送魔法を使ったんだと思う。妖精界では引っ越しもそんなもんだからな。」




「じゃあ、妖精の仕業ってこと?」



シンシアは古代の文字らしきものを興味津々に目で追いながら尋ねた。



「.……。お前。ホントになんも知らないんだな。情報にかなり疎いぞ.……。」



ミカドがあきれたように言った。



「えー、そんなわけないよ。でも、魔法を使えるのは妖精だけでしょ?」



シンシアはミカドの目を見て言った。



ミカドはため息をついて言った。



「…やっぱり。あのな、魔法を使えるのは妖精だけとは限らないぜ?確かに妖精の魔法は発展しているが、他の種族の中に使うやつもいるんだ。…例えば、悪魔とか。」




それを聞いたラミアスはひっと唸って後ずさりした。



道理で気持ち悪いわけだ。



こいつは悪魔が…。



シンシアは悪魔という単語に首をかしげた。



ミカドはそれを見て仰天した。



「うわっ!お前、悪魔も知らないのかよ.……。…どこの田舎娘だよ。」