アニアは走って馬の前へ出た。



「やっぱり、また囲まれたのね。」



そして、ゆっくりと剣を取り出して構える。



すると、たくさんの魔物が押し寄せてきた。




ラミアスとミカドは応戦しようと身を乗り出した。



すると、アニアは



「来ない方が良いわよ!」



と叫び、二人を制止した。


ラミアスはか弱い女の子に一人で戦場で戦わせるなんてと呻き声をあげたがミカドに制止された。




「見ろよ。」





ミカドが見ていた方向と同じ方を見たラミアスは圧倒された。





アニアは軽やかな身のこなしで次々に魔物をやっつけているのだ。




ラミアスはそれを見つめながらごくりと唾を飲みほした。




魔物はアニアによって皆倒されてしまった。



そして、またしてもあの魔物の乱闘あとが出来たのだ。




一瞬で。




シンシアは目を疑いたくなったが考えた。




流石、フェアリークイーンのテルミトラ様。



アニアは生きている魔物がいないか確認すると馬車に戻ってきた。




ラミアスは思った。



こいつ、何者だ。




ラミアスの国、セレビア国ではほぼ女性に剣術など存在しない。




たまに、女の兵士がいるが、お金持ちの者だけだ。



このような少女が触れるなどあり得ない。



ラミアスが疑いの目でこちらを見ていると感じ取ったアニアはにっこりして言った。




「私は、昔から剣術を教わっていたの。」




妖精界で。




という言葉をアニアは言わなかった。





ラミアスは納得しなそうな顔をしていたがミカドの言葉で聞くタイミングを失った。



「もうちょっと行けるって。」



アニアはミカドに頷くとミカドはそれを合図に馬を走らせた。