アニアはショックだった。




まさか妖精も人間も揃いも揃って首を傾げるとは.……。




「今のでわからないのは計算外だわ.……。」




アニアはぶつぶつ呟きながら馬車の隅っこに座った。






顔がビミョーに怖い。




シンシアたちは何がどうなっているかわからずじまいで途方にくれていた。





ふと、ミカドは馬車が動いていないのに気づいて操縦しに行った。






ようやく我に返った残りの二人はアニアに近より、恐る恐る聞いた。





「ねえ、何とか作戦って何?」




何とか作戦.……。




質問になっていないような質問だった。





アニアは器用に目をくるくる回して答えた。





「…シンシアのバリア魔法を機械に最大限に溜め込み、少しずつ時間をかけて魔法を発動させてくれる装置よ。あと、二週間は持つわよ.……。」





今の答えで二人は納得したように顔を明るくした。





少し引っかかることを見つけたラミアスはためらうことなくアニアに聞いた。





「アニア。どうしてこんなものを知っていて、持っているんだ?」




アニアは驚いた。




どうして人間は頭もたいしてよくないのに、こういうところで勘が働くのかしら?




アニアは答えを探しながら考えた。





そして、バックを探った。




そして、思ったことを書いてくれるノートを取りだし、あるわけもないページを探すふりをして答えた。





「あれは私が昔、ある図書館で書いてあるのを見つけたの。さらに、場所まで書いてあったから探しに行ったのよ。そしたら、二個あったわ。」



そういって適当に思い浮かべた地図をノートに思い浮かべ、ラミアスに見せた。




ラミアスはただそれ以上は何も聞かずにただ




「そうか。」



とだけ言った。




いきなりミカドが叫んだ。




「森が見えたぞ!」



アニアは窓から身を乗り出して外を見た。