店の中に入ると、木の匂いや鉄の匂いなどが合わさって不思議な匂いが鼻に入ってきた。



店の主人は中年の男性でまた、妖精と契約をしていた。




主人はこちらをちらりと見ると、歓迎をしていないような声で



「いらっしゃい……。」




と言った。





アニアはムッとなったが、店の中にはわりと良い剣が置いてあるのを見つけると、この店で買うことを決めた。




シンシアは生まれて初めて剣を見た、とでも言いたいような顔で、剣を見ている。




感動しているらしい。




その証拠に羽がパタパタとうるさい。





シンシアに気づいたのか主人の妖精は不思議そうにアニアたちを見ていた。




とうとうこっちにやって来た。




「すみませんが、こちらの妖精は……。剣を初めて見るのですか?」




アニアは、ええ。もちろん五百年以上も眠っていたのだから、と口を滑らせそうになった。





だが、頑張って口をつぐみ、




「ええ。彼女は、のどかな戦争のない農村に育ったみたいだから。」



と言った。






妖精はビックリしたような表情をしたが、ニコリと笑顔を作り、お辞儀をした。







「申し訳ございません。私としたことが、つい口を滑らせてしまって……。」




なかなかの紳士だとアニアは思った。




多分、結構な貴族の出だろう。




アニアは内心で、こちらこそ、嘘をついてごめんなさい。と謝った。







そんなことは知らない妖精は続ける。






「今日はどのような品物をお探しで?」






アニアはその瞬間に不思議な気配を感じ取った。