この頃。
魔界では、城に現れて鍵を奪って行った少年が帰還した頃だった。
「お帰りなさいませ。リョウガ様。」
リョウガはマントを無言で召し使いに渡し、自分の部屋に入ろうとした。
すると、扉の前には同じ歳くらいの少年が寄りかかっていた。
「リョウガ。どうだった?妖精達は。」
少年は陽気にリョウガに話しかけてくる。
リョウガはたんたんと答えた。
「ソウ……。案外弱かった。けれど、最後にいた少女はとても強くて……。」
途中で途切れた言葉を探してソウは聞いた。
「強くて?」
リョウガは迷った。
どうして、あの少女の事が頭に浮かぶのだろうか?
彼女は誰なんだ?
そんな疑問に葛藤しているリョウガにソウは言った。
「まあ、お前が言う少女。お俺は会って見たいかなぁ……。」