「せんせー聞いて!昨日うちの彼氏とユカの彼氏とユカと四人でカラオケ行ったんだけどさー・・・」
「うんうん」
「せんせー良いよそんな真面目に聞かなくて。ただのリア充のノロケだから。」
「りあじゅー・・・?」
「え?うそ!せんせーリア充しらんの?やばっ!うける!」
「だめだよ、せんせーきゃりーぱみゅぱみゅも知らないもん」
「え?まじ?」
「きゃ・・・?ん?今、なんて?」
「「あっははは!やっぱせんせー最高だわ!」」
また、科学準備室の前で派手な女子生徒二人に弄られている。
先生はああいう、よく喋ってよく笑う人たちの方が、一緒にいて楽しいんだろうか。
いや、少なくとも私みたいに地味で無口な生徒よりは、接しやすそうだ。
私も、あんなふうに先生と明るく話せたらなあ・・・・。
「・・・あ、山本!」
彼女たちとの話の途中で、先生は私に気付いてくれた。
「ほら、真面目に勉強聞きに来てる生徒もいるんだから、お前らはさっさと教室戻れ」
そう言って先生は、しっしと手を振り女子生徒を追い返す。
二人は、「なんか先生らしいこと言われたー」と、また笑いながら大人しく教室に戻っていった。
分からないけど、二人を追い払おうとする先生の姿に、少し、ドキッとした。
毎日、昼休みが来る度に私は、勉強を教えてもらう為、先生がいる科学準備室を訪れる。
当然、本当の目的は違う。
昼休みにここに来れば、一緒に昼食を取ることができる。
それが本当の狙いだ。