確かに真柚は純粋で素直だ。
だからと言って勘が鈍いわけでもない。
身近な人の多少の変化に気付かない訳ではない。


紅梨の変化に気付かないのはきっと、




紅梨が必死に隠してるから。

一体本当の紅梨はどれで、
俺と真柚の事どう思っているんだろうか。



ぼんやり考えていると、

「2人ともどうしたの?帰ろうよ」

耳に心地良く響く澄んだ声が聞こえた。
紅梨が手を伸ばし真柚の腕に抱きつく。

「何ー?紅梨、なんか嫌な事あった?」

丸い瞳を微かに開いて紅梨を見つめる。
花を思わすような真柚。
綺麗だなと思う。

「んーちょっと疲れちゃった。
でも、真柚で充電出来ちゃったかな」


にかっと笑う。紅梨の笑い方。
さっきの表情は嘘みたいに明るい。
何か別人と話していた気分だ。

「拓は、どうしたの?」

「どうもしてないよ。
仲良いね、2人。双子みたい」

「えーこんな正反対の双子なんて変だよ。
ね、真柚?」

「でもちょっといいかも」