｢ってか加藤って
とことん馬鹿じゃん。
橘さんといたら比較されるだろ。
橘さんめっちゃ美人だし｣
…本当にそうだ。
真柚は多分自覚してないが
美人でしかもモテるのだ。
｢紅梨って何なの、
橘さんと一緒にいるからって
調子乗ってるよね｣
｢良いんじゃない？
だって引き立て役だし｣
その時俺は噂の怖さを目の当たりにした。
確かに紅梨は言うこともきつい時があるし、
誤解を招くことも多いけど…。
明らかに故意的な噂も多い。
しかも真柚の気付かないところで
言うから更に悪質だ。
紅梨はきっと自分が悪口言われているのを
知っているはずだ。
なのに、紅梨は真柚の前では
いつも笑っている。
そんな子が皆が言うような奴には
どうしても思えない。
なのに、
否定も出来ない。
怖かった。
