「チョコ…ありがとう。滝くんって勉強以外に興味ないのかと思ってたけど…
優しいところもあるんだね」
いつのまにか涙も止まってた。
滝くんは教科書とノートがたくさん入ったカバンを肩に掛けて、
「…別に。明日もそのテンションで来られたら、俺が迷惑なだけ」
と、小さくため息をついた。
「…え?」
あたしに謎のチョコとセリフを残して、滝くんは教室を出ようとしている。
「待って!どういうこと?!」
あたしがそう言うと、滝くんはクルッとあたしの方を振りかえった。
「そんな重い雰囲気を隣から出されたら、俺が勉強に集中できない」
う。
真顔でそう言い残して、さっさと帰ってしまった。
…なんだ。
別にあたしを慰めるためにチョコをくれたわけじゃなかったんだ。