「いやっ……あたしが走ってたのがいけないんだ!
 ちょっと急いでて……あーッ!!」


そしてあたしは現在自分が置かれている状況に気がついた。


絶体絶命のピンチなのだ。



「ごめんあたし……今すぐ第一体育館行かないといけないんだッ! 
 じゃっ! 縁があったらどっかでまた……」


「第一体育館なら、反対だよ?」




片手を挙げて、走っていこうとするあたしを止めたのは、まるで鈴のような彼女の声。



「……ハンタイ?」


自分の方向音痴度にちょっと失望。


片手を口元に当ててくすりと笑う彼女がかわいすぎる。