安藤は小さく笑った後、自分の席に
荷物を置いてから空来の席に座った。
「それ、やめない?」
「それって?」
安藤はまた笑った。
「安藤“さん”」
「え?安藤さんも田中くんって・・・」
基本的に女子のことは苗字に“さん”
ずっとこうしてきたから
他にどう呼べば良いのか分からない。
あ、でも空来は特別ね。
空乃と似てるから呼びやすいんだ。
「安藤って呼んでよ。
じゃないと空来が怪しむよ。
多分、追求してくるから」
それは別に困らないけど
『何で舞衣は名前じゃないの?』
とか言われたら困るかもな。
「分かったよ、安藤」
俺は折れた。