「何よ空来、真似しないでよー」
「こっちのセリフですー」
こんなことを言いながらでも
お互い顔は笑ってる。
何か、お姉ちゃんがお姉ちゃんで
本当に良かったって思うよ。
「あのね・・・足引っ掛けられたんだ」
家族は知らなかったリレーの時に
起こった事故の真相。
「1年生の女の子がこけたでしょ?
その子の代わりに牧野くんが
走ったことが“ずるい”って・・・」
今まで我慢してた涙が溢れそう。
「考えてみたの。確かに1年生の
女の子の代わりに2年生の男の子が
走ることはずるいことなのかな?
そうも思ったんだよね。でも・・・」
あ、駄目だ。
目にいっぱい溜まった涙は
静かに頬を伝って
体操服のズボンに跡をつけた。