あーあ。
どうしよう。
もう助けてもらえる位置じゃないし。
女の子は先に行っちゃったし。
・・・行くしかないよね。
怪我しちゃったし優勝できる保証は
正直言ってどこにもないけど。
ここで走らずに後悔するのだけは
何があっても絶対に嫌。
「空来ちゃん!前に足出して!」
不意に聞こえた泰生くんの声。
そっか、泰生くんも選手だったよね。
私に合わせて並走してくれてる。
「泰生くん、大丈夫だよ。
1位になるから」
私がそう言うと大きく頷いて
並走をやめた。
痛い足を前に前に出して少しずつ
でも確実に女の子との差を縮める。
ゴールまであと少し。
このままいけば、抜ける。
私は最後の力を振り絞って
ゴールに向かった。