「空来!行ける!抜けるよ!」
応援の声の通り、目の前に1位がいる。
カーブで抜ける。
私、直線よりもカーブが得意だから。
「ずるいよね」
「・・・えっ?」
抜こうとした瞬間
確か隣のクラスの女の子にそう言われた。
ずるい・・・?
今のって私に言ったんだよね。
私以外にいないし。
「1年女子の代わりに
2年男子が走るってあり?」
「・・・今は話す余裕ないから」
何としても優勝したいから。
だから私は問いには答えずに
外側から追い抜こうとした。
でも・・・
「あっ」
左足に足を引っ掛けられて
私だけが大きくこけた。