校長先生の言葉も耳に入らないくらいに


後ろの田中くんに向けて


背中に神経を集中させた。


今までは


いたって普通の真面目な子だったのに。


今日から私のキャラは変わるかも。


なんて、変なことを考えた。



「クラスごとに教室戻れー」



体育館から出る時は回れ右をするから


私の前が田中くんになる。



「空来!」



教室が近づいたら列なんか崩れてる。


だから舞衣も私に追いついてきた。



「え、空?」



舞衣が呼んだ私の名前に反応してか


田中くんが私を振り返った。



「う、うん。私の、名前・・・」



やっぱり男の子だ。


緊張するよ!



「空が来るって書くんだよ!


田中くんの名前は、海だっけ?」