私の言葉を聞いて


廊下にいたお姉ちゃんも


キッチンにいたお母さんも


リビングに入ってきた。


お父さんはとうとう泣いちゃった。



「空来・・・急にどうしたの?」



お姉ちゃんはお父さんじゃなくて


私の頭を撫でてくれている。



「今日、施設に行って来たの。


一緒に買い物に行った田中くんと。


さっき知ったんだけど


田中くんあそこで暮らしてるの。


私とは全然違って、ちゃんとお父さんも


お母さんも妹さんもいるんだよ。


血だって繋がってる。でもね・・・」



さっきまでは嬉しい涙が出そうだったのに


今は悲しい涙が出そうになってる。



「お父さんもお母さんも田中くんよりも


妹さんの方が大事で、田中くんのことは


ちっとも見てくれないんだって」