楓馬さんは苦しそうに顔を歪めた。
「だから俺、親には病院に来ないように
言ったんだ。だから余計に来ないのかも」
今の言葉は少しわかりにくかった。
「あ、ごめんね。俺が親に頼んだって
ことが春馬には分かったのかもってこと。
春馬は昔から変な勘だけは鋭いから。
俺と親に対して反感を抱いてるのかもね」
「楓馬さんは・・・それで良いの?」
「空来ちゃん、だっけ?
良くはないかな。
春馬の中で俺がどう変化しても
俺の中の春馬は可愛い弟でしかないから」
それは多分、春馬の中でも
変わってないことだと思う。
「おかしいよ。家族でしょ?
ちゃんと血も心も繋がってるんでしょ?」
空来の頭の中にはきっと
高橋の家族と俺の田中の家族がいる。
だからこそ空来にとって
家族は何よりも大事なんだ。