正門までは2人で歩いて
そこからは1人で歩く。
そうじゃないとお母さんが断ろうと
思っても言いにくいもんね。
「おかえり。田中くん送ってくれたの?」
「うん。あのね、お母さん。
田中くんも一緒に病院に行って良い?」
窓を開けての会話。
お母さんは窓から田中くんを見た。
「友達のお兄さんが入院してて
おじいちゃんのお見舞いの後でも良いから
一緒に行きたいの」
「駄目って言ったら駄目なんでしょ?
良いわよ。乗せてあげなさい」
「ありがとう!」
田中くんがお母さんに気に入って
もらえてて本当に良かった。
そうじゃなかったら駄目だったかも。
「お願いします」
田中くんがそう言って車は発進した。