「あの喫茶店で待ってるね」
「うん。ありがとう」
「ありがとうございました」
施設に着いて私と
田中くんは車から降りた。
施設に来るのは田中くんと買い物をした
あの日曜日以来。
だからそんなに日は経ってないけど
誕生日はここに来るって決めてる。
本当なら産んでくれた両親に会いたい。
でもそれは叶わない願いだから。
私の名前と誕生日を考えて
今の私の人生の半分以上の
面倒を見て育ててくれた
この施設の先生にお礼が言いたいの。
『産んでくれてありがとう』
って言えないのは残念だけど
『生かせてくれてありがとう』
ってのは言っても良いと思うから。
「あ、蒼海くん!おかえりなさい」
施設の中から田中くんのことを発見した
先生がドアを開けて出てきた。