「お願いします」
田中くんはお母さんの車に
そう言いながら乗った。
2人で後部座席。
こんなこと初めてで
何故か緊張しちゃう。
「いえいえ。
いつも空来がお世話になってるからね」
お母さんの言う通り。
私はいつも田中くんに
お世話になりっぱなし。
田中くんが私に迷惑かけたことなんて
ないのに私は迷惑かけてばかりだもん。
「施設に直行で大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
その言葉を合図に車は発進した。
田中くんといられることで嬉しい半面
今日の牧野くんのことが頭から離れなくて
半分は沈んだ気持ち。
でも、私よりも田中くんの方がそうだよね。
田中くんと牧野くんは
私と舞衣みたいな関係だって思うから。