「私も最初はそうだったよ。
流希くんに出会うまでは」
施設の中でそれなりに幸せに
友達もいて過ごしていたけど
“私たちはみんな捨てられたんだ”
って心のどこかで常に思ってた。
「運命ってすごいね」
「運命?」
私は田中くんの言葉を繰り返した。
運命って言葉は知ってるけど
普段言ったり聞いたりはしないから。
「あの施設に入らなかったら
俺も空来も流希くん?も
もしかしたら出会ってなかった」
田中くんの言葉に素直に
“そうだね”って思った。
「運命か・・・そうかも」
田中くんも微笑んだ。
だって、私を産んでくれた両親が
私を施設の前に置かなかったら
私は今の家族とも出会えなかった。