「行くの?行ってらっしゃい。


気をつけてね」


「空来も」


「はーい」



お父さんも笑って出て行った。


杖をつく音が少しずつ小さくなって


やがて消えた。


私も食器を片付けるかな。


って言っても食器桶につけるだけ。


後は鞄を持って、松葉杖を持って


玄関でおとなしく待機。


そろそろ田中くんが来てくれるはず。



ピンポーン



あ、来たかも。



「はーい」


「俺、蒼海だよ」



やっぱり。


田中くんのお出ましだ。



「おはよう」



ドアを開けたら田中くんは


道路の方を向いていた。