それから1時間
まだ空来は見つかってない。
学校の近くの公園も駅も
安藤の家だった場所にも行った。
でも、空来がいそうな気配すらない。
「はぁ・・・どこにいんだよ」
春馬と2人、息を切らせて
公園のベンチに座った。
その時だった。
「あれ、泰生じゃん。どした?」
「忘れ物。数学の問題集忘れた」
学校帰りの先輩の会話が聞こえた。
学校の中に、忘れ物・・・。
「春馬、学校行こ」
「え?」
戸惑ってる春馬を引っ張って
今日2回目の学校に入る。
松葉杖でまた学校に戻ることは
簡単じゃないけど不可能でもない。
もしかしたら学校にいるかもしれない。