すぐに部屋に戻ってさっきまで


教科書でいっぱいだった鞄を


財布と自転車の鍵だけにして


部屋から出て自転車置き場に向かった。



「蒼海」



自転車を押して正門に行ったら


春馬は既に来ていた。



「さっき、高橋のおばさんから


電話があったんだ。


蒼海にも電話するって言ってたから


俺からするって言った」


「サンキュ」



空来がどこにいるのか見当もつかない。


それでも春馬と俺は一緒に空来を探す。


見つけて言わなきゃいけないことがある。



『安藤はいつかきっと空来のところに


戻って来るから』



それを伝えないといけない。


安藤の最後の願いだから。