「そういやさっき速水くん、何か言いかけてなかった?」


私は階段を降りたところで思い出し、速水くんに言った。


「あ、あぁ。んー、まあ気にすんな。たいしたことじゃなかったし。俺も忘れた」

「えー。何それ!私が気になるじゃん」

「まーまー。忘れるくらいだからたいしたことじゃねんだって」


そう言って速水くんはケラケラと笑った。


「んー、まあそれもそうだね」

「思い出したらまた今度言うよ」

「・・・ねえ」

「ん?」

「速水くんって身長いくつ?」

「うわっ。嫌味かっ。遠回しに身長低いって言いたいんだろう!」

「ち、違うよ。違う。まあ高いとか言えないけどさ、手おっきいなぁって思って」

「そりゃまあバスケ部だしな。これから身長も伸ばしていくんだよ!それに今だって三瀬より10センチ以上高いだろ!」

「うん、頑張ってね」


速水くんって周りの空気みたいなのを和ませるような存在だな。