「・・・大丈夫か?三瀬」


速水くんが心配そうに私の顔を覗き込む。

私は転びそうになったことより、先輩と話せたことのほうが胸がいっぱいだった。


「へぁっ、う、うん。大丈夫だよっ。先輩が支えてくれたしっ」


我に帰り、少し焦り気味で速水くんにそう返した。


「そっか。あんまりぼーっとすんなよ。三瀬よく転ぶだろ」


そう言って速水くんは私のおでこにこつんと拳をぶつけた。

速水くんにいっつもおでここつん、てされちゃう。速水くんの癖なのかなぁ?


「おら、行くぞ!」


速水くんはそう行ってはにかみながら私の手を引いた。


「あ、うん。待って」


あ・・・。速水くんの手って、結構おっきいんだ。速水くん、身長はそこまで大きくないからちょっと吃驚しちゃった。


「速水くんって、やっぱり男の子なんだね。手、おっきいね」

「は、はぁ・・・!?何、いきなり・・・っ。男に決まってんじゃんっ」

「へへっ。うぅん、なんでもないよ」


私はそう言って笑った。