「じゃー、健康観察しまーす」

あれから学校につき、教室で話していると担任の先生がやってきた。

そして、6年間続けてきた「健康観察」と言う名の「出席」をとる。


次々と名前を呼ばれるたび「はい、元気です」という声が聞こてくる。


・・・今さらだけど、これって「はい」って返事じゃなくて「ハイ元気です」が一つの単語になってるよね。

6年間なんの違和感もなく使ってきたけど・・・。

「源川 紫苑!」

「うぇっ?!はい!元気です」

色々考えことをしている間に、私の番がきてしまったらしい。

びっくりして変な声が出た・・・。

その変な声が面白かったのか、教室の中ではチラホラと笑い声が聞こえてくる。


その声の渦の中で、私の耳が聞き取ったのはみんなより少し低い・・・私の好きな人の声だった。

うわああああああ!恥ずかしすぎて死ねる!!!



っていうか、この声の渦の中で好きな人の声だけ聞き取れるって私すげぇ・・・。
どんだけ好きなんだよ!と、小さい私が脳内で突っ込む。


「はい、じゃ朝学活終わり。挨拶してー」

おっと、今日はやけに時間がたつのが早いな。

もう終わるのね。

「あ、今日俺じゃん。」



耳が、反応する、あの人の声。



「きりーっつ。気をつけー。ありがとーございましたー」

少し、だるそうに挨拶をするあの人。


眼鏡が曇るんじゃないかってくらい顔が熱くなる。

馬鹿みたい。

あんな、女子に人気がありそうな人が私に話しかけてくれることなんてないのに。