そんな私の心の叫びを知らない彼女は私の隣を歩く。


これがいつもの風景。
あぁ…もうすぐこのランドセルとお別れなのね…。

「ちょっと、聞いてる?」

おっと、つい妄想の世界へ行って里桜を置いてきぼりにしてしまった。

「ごめんごめん。ちょっと考え事してたわ」

「寝ぼけてんじゃないのー?」

あははっと笑う里桜は本当に可愛い。こんな子ならすぐ彼氏ができるだろう・・・。



それに比べて私は・・・。

私は未だに「恋」というものがハッキリ分からない。

それはきっと本気の恋愛をして、相手を愛す事をまだ知らないからなんだろう。

いつか、私にも人生をすべて捧げるくらい、大事な人が現れるといいな・・・。


そんな事を考えていると、校門はもう目の前だった。
周りには同じくランドセルを背負った小さい子から、大きい子までいた。

中学校は反対の場所にあるので、この風景を見るのもあと半年。


「早いなぁ・・・」


思わずそんな事を呟いてしまう。


「え?何がー?」

キョトンとした表情で里桜が首を傾げた。

そんな小さなしぐさでも「女子」という感じがする。

「んー・・・。いや、あと半年で私たちも中学生になるわけじゃん?6年間ってあっという間だったなーって」

「そんなもんでしょ!中学校なんか、3年間なんだからもっと短く感じるよ、きっと」

「だよねー・・・」


そう、きっとこうやって笑っていられる時間は、とっても大切な時間なんだ。