「・・・フッ」

ニヤニヤとしながら、わざとらしい顔をしてくる。

イラッ・・・。


「うるさいっ!」

限界に達した私は思わず利久の頭をチョップした。
バシッといい音が聞こえ、利久は叩かれた場所を抑えた。


「いってーな!何も叩く事ねーだろ!この怪力!」

「うっさい!」

もう一発お見舞してやろうと、右手を振り上げた。

そして、チョップをしようとして腕を振り下げ・・・・・られなかった。


私が腕を振り下ろす前に、利久が右手で私の腕をつかんだ。



って動かないしーっ!!


「へぇ・・・あんな強い力で叩くけど、所詮は女の力だな。」

腕をつかんだまま、ニヤニヤしながら私の顔を見てきた。

何度も力を籠めてみるが、ビクともしない。


「うっ・・・離してよっ!!」


精一杯の抵抗をしてみるけれど、腕が動く事はなく・・・おまけに腕を離す気配もナシ・・・。

相変わらずアイツはニヤニヤしながら私の腕をつかんでいた。


「ふーん。意外と腕細いんだな。」

「んな・・・!」


ひいいいい!何コイツ!怖い!なんか怖い!



あ、そうだ。


腕が動かないなら足があるじゃないか!!


「・・・そりゃっ!」

今度は利久の脛を蹴ってやった。ここは痛いよね!ざまあみろ!!


「ぐっ・・・」

さすがに効いたのか、掴んでいた私の手を離して脛を抑えた。