「俺は君に変わって欲しくない」


それでも耳に入って来たもの、それは聞き覚えのあるあの言葉で、


「君が変わってしまうのが怖いんだ」


その言葉に私は、やっぱり…と思ってしまう。それでももう一度、もう一度だけ…顔を上げていられるだけの力を、あと少しでいいから。なんて思っていたその時だった。


「君が俺の傍から居なくなるのが…怖いんだ」

「……え?」


思いもしなかった言葉が…トウマさんの口から、こぼれ落ちた。


パチパチと、瞬きを繰り返す私。


私が居なくなる事が怖い?


私が変わる事、それはトウマさんの傍から居なくなる事だと、そうトウマさんは今、言っている。

一体何がどうなったらそうなるのだと思うくらいに、私にとってはそれはあり得ない言葉だった。